制度概要
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 提供元 | 竹中育英会 |
| 種別 | 給付型(返済不要) |
| 対象 | 指定大学の学部2年次生・博士課程進学者・海外留学者 |
| 金額 | 月額80,000〜100,000円 |
| 返済要否 | 不要 |
※ 掲載金額は調査時点のものです。年度により変更される場合があります。
竹中育英会は、株式会社竹中工務店が設立を発意して金2億円を寄付し、1961年12月に設立された公益財団法人です。創設者・初代理事長は竹中藤右衛門氏(当時、竹中工務店相談役)。奨学金制度は、①指定20大学の学部生向け(大学経由・月額8万円)、②大学院博士(博士後期)課程進学者向けの「博士課程特別奨学金」(直接応募・月額10万円)、③海外の大学院への留学者向け(大学経由・年額最大500万円規模)の3本立てで、学部奨学生は大学院進学時の継続給付も受けられます。専攻分野の制限はありません。
支給額・支給期間
- 学部生: 月額8万円(80,000円)、年額96万円
- 修士課程: 月額8万円(学部から継続の場合のみ。新規応募は不可)
- 博士課程: 月額10万円(100,000円)、年額120万円
- 海外留学: 授業料等大学納付金として年額250万円を上限とする実費+滞在費・渡航費等として年額250万円を上限とする費用
- 期間: 最短修業年限(学部生は卒業まで、博士は修了まで。海外留学は修士2年・博士3年・合計5年以内)
※ 掲載金額は調査時点のものです。学校推薦枠の博士課程の給付額は2025年度に月額8万円から10万円に増額され、博士課程特別奨学金と統一されました。
採用倍率・採用人数
| 項目 | データ |
|---|---|
| 採用人数(新規) | 67名(2025年度の新奨学生: 大学40名・大学院19名・海外留学内定3名・博士課程特別内定6名) |
| 給付を受けた奨学生(当年度) | 257名(学校推薦227名=大学156名・大学院71名/海外留学14名/博士課程特別16名) |
| 給付総額(当年度) | 227,256,135円 |
| 募集枠 | 学部は各学年40名、博士課程特別は毎年6名程度、海外留学は毎年3名程度 |
| 応募人数 | 非公表 |
| 倍率 | 非公表 |
| データ出典 | 竹中育英会 2025年度事業報告書(PDF) |
このデータについて
2025年度事業報告書(2025年1月1日〜2025年12月31日。竹中育英会の事業年度は暦年です)に「次の67名の新奨学生を決定した。A.学校推薦奨学生:大学40名、大学院19名(修士17名、博士2名)B.海外留学奨学生(内定):3名 C.博士課程特別奨学生(内定):6名」と明記されています。財団概要ページの募集枠(学部各学年40名・博士6名程度・海外3名程度)とも整合する実績です。応募者数は非公表です。
同報告書には当年度に給付を受けた奨学生の内訳も記載されています。「A.学校推薦奨学生:154,650,000円(大学156名、大学院71名、計227名)B.海外留学奨学生:57,506,135円(14名)C.博士課程特別奨学生:15,100,000円(16名)」で、総額227,256,135円。人数は計257名、金額も内訳の合計が総額と一致します。新規採用67名に対して在籍規模は約4倍で、学部から大学院まで継続給付する設計が数字にも表れています。
なお、新奨学生の数え方には報告書自身に不整合があります。 内訳を足すと 40+19+3+6=68名で、本文の「67名」と1名合いません(大学院19名の内訳=修士17名・博士2名は一致)。当サイトでは財団が総数として示している67名を採用しています。給付実績側(227+14+16=257名、金額も一致)は整合しているため、新規採用の内訳表記のみの問題と考えられます。
推定される競争率
学部枠は指定20大学からの推薦制で、各大学の推薦枠は非公表です。学内推薦を獲得するまでの選考が事実上の第一関門になります。博士課程特別奨学金は指定15大学の希望者から毎年6名程度を直接募集で選考するため、月額10万円という条件も相まって競争率は高いと推測されます(公式値は非公表)。
応募資格・条件
成績要件
学部枠には独自の成績計算式が設けられています。
- 計算式: (優の単位数×3)+(良の単位数×2)+(可の単位数×1)÷(全単位数×3)×100
- 基準: 上記計算結果が85以上(参考: 優=100〜80点、良=79〜70点、可=69〜60点)
- 学部は2年次在学時に応募(4月入学生のみ・申請時22歳以下)
- 博士課程特別は修士2年次に応募(申請時25歳以下・日本国籍を有する者)
所得制限
経済的理由によって就学に支障がある者が対象です。博士課程特別奨学金では「本人が属する世帯の税込年収の合計が800万円未満を一応の基準とする」と公表されています(学部枠の具体的な基準額は公式サイトに記載がありません)。
その他の条件
- 学部枠の指定20大学: 北海道大学、東北大学、筑波大学、東京大学、東京工業大学、一橋大学、獨協大学、早稲田大学、慶應義塾大学、青山学院大学、名古屋大学、名古屋工業大学、京都大学、大阪大学、神戸大学、広島大学、九州大学、関西大学、関西学院大学、甲南大学
- 博士課程特別の指定15大学: 北海道大学、東北大学、筑波大学、東京大学、東京工業大学、一橋大学、名古屋大学、名古屋工業大学、京都大学、大阪大学、神戸大学、広島大学、九州大学、早稲田大学、慶應義塾大学
- 海外留学の指定6大学: 東北大学、東京大学、東京工業大学、名古屋大学、京都大学、大阪大学(TOEFL iBT88点以上またはIELTS6.5以上。修士留学は27歳以下・博士留学は30歳以下)
- 専攻分野の制限はなし(海外留学も2025年度から人文社会科学系を含む全分野)
- 学部・海外留学枠は大学推薦が必要(個人での直接応募は不可)。博士課程特別奨学金のみ財団へ直接出願(大学の推薦調書は必要)
申請方法・スケジュール
- 在籍大学の奨学金窓口で募集情報を確認(博士課程特別は財団サイトから直接出願書類を入手)
- 大学からの推薦を受け、出願書類を学校経由で提出(4月下旬)
- 書類審査(5月中旬)
- 面接選考(5月末〜6月初旬)
- 奨学生決定(6月下旬)、7月から支給開始
※ 博士課程特別奨学金は2027年4月進学者6名の募集が2026年度に実施されています。
他制度との併用可否
2025年度に公的奨学金との併給制限が解除されました(従来の減額措置を廃止)。博士課程特別奨学金では「他の企業・団体から学資金(国の奨学金を除く)の給付を受ける見込みがない者」が応募要件で、民間の給付型奨学金との併用はできません。学部枠の併用規定は公式サイトに掲載されていないため、大学の奨学金窓口での確認が必要です。
注意点
- 学部枠は指定20大学の学生のみが対象のため、所属大学が対象かどうかを事前に確認してください
- 学部生は2年次在学時に応募する必要があります(1年次・3年次以降は応募不可)
- 修士課程からの新規応募はできません(大学院進学者向けは学部で本会奨学生だった者のみ)
- 博士課程特別奨学金は修士2年次に応募し、博士進学後に受給開始となります(2022年に創立60周年を機に新設された制度)
- 奨学金のほか、東京都練馬区に学生寮(20室。当会奨学生で自宅通学が不可能な者が対象)を運営しています
- 研究助成は建築に関する学術研究が対象で、日本建築学会に候補募集を委託しています(2025年度に事業費を500万円から1,000万円へ増額)
出典・公式サイトリンク
出典: 竹中育英会 奨学生募集等のご案内(2026年7月調べ) 出典: 竹中育英会について(2026年7月調べ) 出典: 竹中育英会 2025年度事業報告書(PDF)(2026年7月調べ)
調査ノート
調べたこと
- 竹中育英会の設立経緯(1961年12月20日設立。株式会社竹中工務店が設立を発意し金2億円を寄付。創設者・初代理事長は竹中藤右衛門氏=当時竹中工務店相談役)
- 制度の全体像(学部・博士課程特別・海外留学の3本+学部奨学生の院進学継続)
- 給付額(学部・修士月額8万円、博士月額10万円=2025年度に学校推薦枠も10万円へ増額統一、海外留学は年額250万円×2系統)
- 成績計算式(優×3+良×2+可×1を全単位×3で割って85以上。「秀」は計算式に含まれない)
- 所得基準(博士課程特別は世帯税込年収800万円未満が一応の基準)
- 指定校(学部20大学・博士15大学・海外留学6大学の別)
- 応募方式の違い(学部・海外留学=大学経由、博士課程特別=直接応募)
- 2025年度の新奨学生67名の内訳と、2025年度の制度変更3点(公的奨学金併給制限の解除・博士増額・海外留学の専攻制限廃止)
- 学生寮(練馬区・20室・自宅通学不可の奨学生対象)と研究助成(建築分野・日本建築学会委託)
調べてみて気づいたこと
- 事業報告書の新奨学生「67名」は、内訳を足すと68名になり1名合いません。当初は当サイトの転記ミスを疑って保留にしましたが、報告書PDFの原文を入手して逐語照合した結果、不整合は報告書側にあると確認できました。一次資料でも数字が合わないことはある——「合わない」という事実ごと記録する方針に落ち着いた制度です
- 成績基準が「(優×3+良×2+可×1)÷(全単位数×3)×100 が85以上」という独自の計算式で、最上位評価の「秀」が式に含まれていません。GPAとも評定平均とも別物のため、自分が基準を満たすかは実際に計算してみないと分かりません
- 2025年度に「公的奨学金との併給制限の解除」「博士枠の月額10万円への増額統一」「海外留学枠の全分野化」と3つの変更が一度に入っています。1961年設立の老舗でも制度は毎年動いており、古い紹介記事の情報が通用しない好例でした
調べられなかったこと
- 応募者数・採用倍率(非公表)
- 学部枠の所得基準の具体額と併用規定
- 面接の具体的な内容
- 学生寮の費用の詳細
※ 本ページは2026年7月22日に公式一次資料(公式サイト・博士課程特別奨学金募集要項・2025年度事業報告書)で全面再検証済みです。過去に当ページに掲載していた「竹中工務店の顧問が個人資産2億円を拠出」「年間約44名採用」は誤りでした(正: 竹中工務店による2億円の寄付・2025年度実績67名)。お詫びして訂正します。
- 2026年8月3日: 2025年度事業報告書PDFの本文を入手し逐語照合。当サイトの引用は原文どおりで正確でした(財団サイトがボット防御のため7月・8月の監査ではPDFに到達できず、内訳の合計が総数と1名合わない点を保留にしていました)。不整合は報告書側にあり、当サイトの転記ミスではありません。あわせて当年度の給付実績(学校推薦227名=大学156名・大学院71名/海外留学14名/博士課程特別16名、総額227,256,135円)と、事業年度が暦年(1月1日〜12月31日)である点を追記しました。