制度概要
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 提供元 | あしなが育英会 |
| 種別 | 貸与型(無利子) |
| 対象 | 大学・短大・専修/各種学校・大学院(遺児等) |
| 金額 | 月額40,000円(大学・短大 一般/専修・各種学校)・50,000円(大学・短大 特別)・80,000円(大学院) |
| 返済要否 | 必要(卒業後20年以内・無利子) |
※ 掲載金額は調査時点のものです。年度により変更される場合があります。
あしなが育英会は、病気・災害・自死(自殺)などで親を亡くした子どもや、親が重度障害を負った家庭の子どもを支援している一般財団法人です。公式の団体概要では設立年月日を1993年4月20日としています。ただし奨学金の交付自体はそれ以前から続いており、2024年度活動報告には「本会の前身『災害遺児の高校進学をすすめる会』を含めて 1988 年以来、37 年間に累計 61,928 人を採用し、818 億 6,333 万円の奨学金を交付しました。」と記載されています。直近では2024年度に6,481人へ40億7,548万円を交付し、うち2,087人が新規採用です(いずれも高校・高専を含む全学校段階の合計)。
重要な注意点として、2023年度採用から制度が変更されています。 現行制度では、返済不要の全額給付型は高校奨学金(月額30,000円)のみで、大学・短大・専門学校・大学院向けの奨学金は**無利子の貸与型(要返済)**です。検索すると「給付+貸与の併給で月額最大70,000円」という情報が多く出てきますが、これは旧制度(2022年度以前の採用者向け)の内容です。
貸与額・貸与期間
現行制度(2023年度以降の採用者)の月額は以下のとおりです。
- 大学・短大(一般): 月額40,000円(貸与)
- 大学・短大(特別): 月額50,000円(貸与)
- 専門学校: 月額40,000円(貸与)
- 大学院: 月額80,000円(貸与)
- 高校: 月額30,000円(全額給付・返済不要)※ 本ページの対象外
- 期間: 最短修業年限(学部4年間、短大2年間等)
※ 掲載金額は調査時点のものです。年度により変更される場合があります。
返還について
- 貸与部分は卒業後20年以内に返還します
- 無利子です(利子は付きません)
- 返還金は次世代の遺児の奨学金の原資になります
採用倍率・採用人数
| 項目 | データ |
|---|---|
| 募集人数(大学・短大 予約募集) | 1次・2次あわせて400人程度 |
| 募集人数(大学・短大 在学募集) | 200人程度 |
| 募集人数(大学院) | 40人程度 |
| 募集人数(専修・各種学校) | 予約募集100人程度・在学募集50人程度 |
| 応募人数 | 非公表 |
| 倍率 | 非公表 |
| データ出典 | あしなが育英会 奨学金を希望する方へ |
このデータについて
学校段階・募集区分ごとの募集人数は公式の募集ページに明記されています。当サイトは以前このページで「採用人数は非公表」と書いていましたが、これは誤りでした。一方で応募者数は、公式サイト・2024年度活動報告のいずれにも記載がなく、大学等の倍率は算出できません。
なお財団全体の実績としては、2024年度に継続者4,394人に加えて2,087人を新規採用しています。ただしこれは高校・高専(奨学生3,861人)を含む全学校段階の合計で、大学・短大単独の新規採用数は公表されていません。
推定される競争率
参考として、高校奨学金の予約採用(中学3年生が対象・本ページの対象外)については応募実績が公表されています。公式サイトによれば2024年度の申請は過去最多の1,800人で、「申請者の急増に奨学資金が追いつかず、54.7%にあたる985人を採用することが出来ませんでした」とあります。採用は815人で、採用率は約45%です。
大学等でも同水準かどうかは、応募者数が非公表のため判断できません。ただし応募資格が「遺児等であること」で限定されているため、母数の性質が一般の給付型奨学金とは異なる点には注意が必要です。
応募資格・条件
成績要件
成績基準について明示的な要件は公表されていません。経済的な困窮度と学業への意欲が重視されます。
所得制限
遺児等であることに加え、経済的に修学が困難な家庭の学生が対象です。申請時に保護者の所得証明書(生活保護受給世帯は受給証明書)の提出が必要ですが、収入・所得の具体的な基準額は募集要項に記載がありませんでした。
その他の条件
- 病気・災害・自死(自殺)等で保護者を亡くした、または保護者が重度障害の状態にある家庭の学生
- 高等学校を卒業(または卒業見込み)の者
- 個人での応募が可能(大学推薦は不要)
- 学部不問
申請方法・スケジュール
- あしなが育英会の公式サイトで募集要項(しおり)を確認
- 応募書類を準備(死亡診断書・障害証明等、保護者の所得証明書、所定書式の在学証明書・大学奨学生推薦書等)
- オンライン申請フォームに入力し必要書類をアップロード
- 必要書類を郵送(③と④は「または」ではなく両方が必要)
- 書類選考
- オンライン面接(大学・短大・大学院。専修・各種学校は書類選考のみ)
- 審査結果の通知・奨学金貸与開始
募集区分と締切
大学等については「予約募集」(高校在学中に申請)と「在学募集」(進学後に申請)の2ルートがあり、締切が異なります。
| 区分 | 対象 | 募集人数 | 締切(消印有効) | 選考方法 |
|---|---|---|---|---|
| 大学・短大 予約募集 | 高校3年生等 | 1次・2次あわせて400人程度 | 1次 2026年6月20日/2次 2026年9月20日 | 書類選考+オンライン面接 |
| 大学・短大 在学募集 | 大学・短大在学生 | 200人程度 | 2026年5月20日 | 書類選考+オンライン面接 |
| 大学院 | あしなが奨学生だった人で2026年4月に大学院入学 | 40人程度 | 2026年5月20日 | 書類選考+オンライン面接 |
| 専修・各種学校 予約募集 | 高校3年生等 | 100人程度 | 2026年6月20日 | 書類選考 |
| 専修・各種学校 在学募集 | 在学生 | 50人程度 | 2026年5月20日 | 書類選考 |
予約募集の締切は2027年4月進学予定者向け、在学募集・大学院の締切は2026年度分です。大学・短大の予約募集は2次が9月20日締切で、秋に応募できる数少ない制度のひとつです(秋募集カレンダーも参照)。なお大学院奨学金は「あしなが育英会奨学生であった人」が対象で、新規に外部から応募することはできません。
他制度との併用可否
併用できます。 公式サイトに「他の奨学金と同時に利用できます。」(奨学金を希望する方へ)、「奨学金の貸与部分は20年以内に無利子返済です。他の奨学金との併用も可能です。」(奨学金について)と、2ページで独立に明記されています。ただしJASSO給付型と併用した場合の支給額調整の有無までは確認できませんでした。
あしながMUFG奨学基金(給付)
貸与型の奨学金とは別に、2022年度に創設された「あしなが MUFG 奨学基金」があります。あしなが育英会の大学奨学生を対象にした給付(返済不要)の上乗せ制度です。
- 理系大学生支援金: 2022年度以降に入学し、本会が定める理系学科に在籍する大学奨学生に月額40,000円
- 文系大学生支援金: 2023年度以降に入学し、本会の定める理系学科以外に在籍する大学奨学生に月額20,000円
- ほかに理系大学院生支援金・大学進学支援金(30万円)があります
大学等の本体奨学金が貸与型であるのに対し、こちらは給付です。あしなが育英会を「全額貸与」と理解すると、この上乗せ分を見落とすことになります。
注意点
- 大学等向けの奨学金は貸与型(要返済)です。 「あしなが育英会=返済不要」というイメージで検索されることが多いですが、現行制度で全額給付なのは高校奨学金のみです
- 貸与は無利子で、返還期間は卒業後20年以内です
- 「一般」(月額40,000円)と「特別」(月額50,000円)の2区分があります。「特別」は2024年度活動報告に「経済的に特に困っていると認められる大学奨学生に適用される制度。本人からの申請によって採否を選考します。」と説明されており、自動判定ではなく本人の申請にもとづく選考です
- 奨学生には「つどい」(交流会)への参加が求められます
- 留年・休学した場合は貸与が停止される可能性があります
出典・公式サイトリンク
出典: あしなが育英会 奨学金について(2026年8月調べ) 出典: あしなが育英会 奨学金を希望する方へ(募集人数・締切・選考方法)(2026年8月調べ) 出典: あしなが育英会 団体概要(2026年8月調べ) 出典: あしなが育英会 2024年度活動報告(PDF)(2026年8月調べ)
※ 募集要項PDF(しおり)はファイル名が年度で据え置きのまま中身が差し替わる運用です。上記は2026年8月時点の版にもとづきます。
調査ノート
調べたこと
- 2023年度採用からの制度変更(高校奨学金の全額給付化、大学等は無利子貸与型に再編)
- 現行の貸与月額(大学一般40,000円・特別50,000円、専修/各種学校40,000円、大学院80,000円)
- 「特別」区分の定義(活動報告の脚注を逐語確認)
- 返還条件(卒業後20年以内・無利子)
- 学校段階・募集区分ごとの募集人数と締切(公式の募集ページで逐語確認)
- 選考方法(大学・短大・大学院はオンライン面接あり)
- 他の奨学金との併用可否(公式2ページで併用可を確認)
- 設立年月日(1993年4月20日)と、前身団体を含む1988年以来の累計採用61,928人
- 2024年度実績(6,481人に40億7,548万円交付、うち新規採用2,087人)
- あしながMUFG奨学基金(給付の上乗せ制度)の存在
調べられなかったこと
- 大学等の応募者数・倍率(公式サイト・活動報告のいずれにも記載なし。高校奨学金の予約採用のみ公表されています)
- 大学・短大単独の新規採用人数(活動報告は全学校段階の合計2,087人のみ)
- 「特別」区分の具体的な判定基準(収入額等の閾値)。適用対象の性格と申請主義は確認できましたが、金額基準は記載がありません
- 所得制限の具体的な基準額(所得証明書の提出は必須だが基準額の記載なし)
- JASSO給付型と併用した場合の支給額調整の有無(併用可であることのみ明記)
- 「本人が直接応募する(学校を経由しない)」ことの逐語記述(申請フローの構造からは個人申請ですが、所定書式の推薦書は在籍校の学長・学部長から受ける必要があります)
調べてみて気づいたこと
このページの初版(2026年3月)では、旧制度の「給付40,000円+貸与30,000円で月額最大70,000円」という情報を記載していました。2026年7月の再調査で、2023年度採用から大学等向けは無利子貸与型に変わっていることを確認し、全面的に書き直しています。検索結果には今も旧制度の解説が多く残っており、「返済不要の給付型」と紹介しているサイトも少なくありません。制度変更をまたいだ情報の混在は、この財団に限らず奨学金調査で最も注意が必要なポイントだと感じます。
そして2026年8月の月次監査で、当サイト自身がもう一段の誤りを抱えていたことが分かりました。このページは採用人数・募集締切・併用可否・「特別」区分の基準の4項目を「非公表」「確認が必要」と書いていましたが、いずれも公式に公表されていました。募集人数は学校段階ごとに募集ページの表へ、締切は同じ表に日付で、併用可否は2ページに明文で、「特別」の説明は活動報告の脚注に載っています。トップページの「奨学金について」だけを見て「書いていない=非公表」と判断していたのが原因でした。
とくに影響が大きかったのが締切です。大学・短大の予約募集は2次が9月20日締切で、春に間に合わなかった人が秋に応募できる制度でした。当サイトは申請時期を「例年5〜6月頃、予約採用は高校在学中」としか書いておらず、この秋の入口を読者に伝えられていませんでした。「非公表」と書く前に募集ページ・活動報告まで確認する、という手順の重さを改めて実感しています。