制度概要
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 提供元 | 関育英奨学会 |
| 種別 | 貸与型(無利息) |
| 対象 | 大学の第2〜6学年・高等専門学校の第2〜5学年(推薦校の在学生) |
| 金額 | 大学 月額30,000円 / 高専 月額20,000円 |
| 返済要否 | 必要(無利息) |
※ 掲載金額は調査時点のものです。年度により変更される場合があります。
関育英奨学会は1981年(昭和56年)1月8日に文部大臣の許可を受けて設立された一般財団法人です(事務局は東京都渋谷区元代々木町)。公式サイトの設立経緯によれば、故・関湊前理事長の夫人である関よつ氏の発意により、夫妻の私財を投じて設立されました。「幼少時代から困窮の中を努力第一主義を信念として生きてきた」夫妻が、自分たちの今日あるのは国家社会の恩恵と世間の援助のお蔭であると感謝したことが出発点と説明されています。
奨学金は無利息の貸与型で、卒業後の返還金が「ただちにその年の奨学金となり後輩に貸与され」る循環型の設計です。
2026年7月更新: 初版(2026年3月)では「給付型(返済不要)」と記載していましたが、公式サイトには「奨学金はこれを卒業後必ず返還しなければなりません」と明記されており、正しくは無利息の貸与型でした。全面的に修正しています。公式サイトのURLも誤っていたため修正しました。
支給額・支給期間
- 大学生: 月額3万円(30,000円)、年額36万円
- 高等専門学校生: 月額2万円(20,000円)
- 期間: 奨学生となってから、在学する学校の正規の最短修業期間
- 振込: 原則として毎月当月分を本人名義口座へ振込。振込日は毎月10日(金融機関休業日の場合は前営業日)
※ 掲載金額は調査時点のものです。年度により変更される場合があります。
対象校 — 大学は約300校・高専58校
推薦校(対象校)の一覧が公式サイトのPDFで公表されています(2026年8月確認)。
- 大学: 基本リスト97校(国公立30・私立67)に加え、「2021年度から追加校」として国立59校・公立85校・私立58校が掲載されています。単純合計でのべ299校(千葉工業大学が2つのリストに重複掲載)で、実質約300校。東大・京大などの旧帝大から地方公立、女子大・美大・医科大まで幅広く含まれます
- 高等専門学校: 58校(国公立54・私立4)。2023年開校の神山まるごと高専まで含まれています
- 一覧の冒頭には「※一覧にない場合は事務局にご相談ください」とあり、リスト外の学校を完全に締め出す建て付けではありません
応募資格・条件
出願資格(公式の記載)
公式サイトは出願資格を「本会が推薦校として指定した高等専門学校の第2・3・4・5学年、大学の第2・3・4・5・6学年に在学し、人物・学業とも優秀かつ健康でありながら、学資の支弁が困難と認められる者で、在学する学校の推薦した者。」としています。
- 1年生は対象外です(大学は2年生から、高専は2年生から)
- 貸与型のため留学生は対象外。FAQでは「日本在住の日本国籍の方のみ受け付けております」とされています
成績要件
GPA等の数値基準はありません。FAQに「基準は設けておりませんが、当会選考委員会で採用、不採用について審議されます」と明記されています。出願書類には成績証明書が含まれます。
家計基準
出願資格に「学資の支弁が困難と認められる者」とありますが、収入の数値基準はありません。FAQに「世帯収入の基準、上限は設けておりません」と明記されており、出願書類にも収入証明書は含まれていません。家計状況は選考委員会の審議に委ねられる形です。
申請方法・スケジュール
- 在学する学校(大学・高専)の奨学金担当窓口で募集の有無を確認
- 出願書類を準備: 奨学生願書(所定用紙)・在学学校長の推薦調書(所定用紙)・成績証明書・在学証明書・作文(400字詰原稿用紙800字以内、題「将来の夢」)
- 在学する学校長を経て出願(学校推薦制。個人での直接応募は不可)
- 奨学生選考委員会の選考を経て理事長が決定し、学校長経由で本人に通知
- 採用通知書と誓約書を期日までに学校へ提出(理由なく怠ると採用取消)
返還について
- 無利息です。返還総額は借りた金額と同額です
- 据置期間: 貸与終了月の翌月から12か月を経た後に返還開始(実質、卒業後約1年間の据置)
- 返還期間・方法: 20年以内に年賦・半年賦・月賦による等額割賦。月賦は毎月16日にゆうちょ銀行口座から自動払込(手数料1回55円。残高不足の場合は26日に再引落し)
- 大学院進学時: 「奨学金返還猶予願」の提出により、大学院卒業後からの返還開始が可能
- 返還が困難な場合: 猶予制度あり。死亡または心身の障害により返還不能となった場合は、全部または一部の返還免除の規定あり
- 保証: 連帯保証人が必要です(機関保証の制度はなく人的保証。滞納が続き本人・連帯保証人とも連絡が取れない場合は法的措置の可能性が明記されています)
公式サイトは返還の意味をこう説明しています:「奨学金は学費として貸与するもので、奨学金はこれを卒業後必ず返還しなければなりません。この返還金はただちにその年の奨学金となり後輩に貸与されます。」
有利子奨学金からの借り換えができる
FAQに「現在、他団体で受けている有利子貸与の負担を軽減するために、貴会の奨学金に借り換えたいという理由での応募は可能ですか。」という質問があり、回答は「可能です。ぜひご応募ください。」です。別の設問でも「現在有利子財団から借りているのですが、本財団で無利子に変更は可能ですか?」に「はい、可能です。」と答えており、有利子から無利子への借り換え目的の応募を公式に受け付けています。
他制度との併用可否
併給は可能です。FAQに「高等教育の修学支援新制度、日本学生支援機構、その他奨学金との併給は可能ですが、当会選考委員会で採用、不採用について審議されます」と明記されています。
注意点
- 返済不要の給付型ではありません。 無利息とはいえ、卒業後に借りた全額の返還義務があります
- 1年生は応募できません(大学2年生・高専2年生から)
- 学校推薦制のため、個人での直接応募はできません
- 休学・長期欠席中は交付休止、学業・性行不良等の場合は停止・廃止の規定があります(事由が止めば復活の規定もあり)
- 奨学生向けの各種行事等への積極参加が誓約事項に含まれます
出典・公式サイトリンク
出典: 一般財団法人関育英奨学会 奨学金制度(2026年8月調べ) 出典: 一般財団法人関育英奨学会 財団について(2026年8月調べ) 出典: 一般財団法人関育英奨学会 よくあるご質問(2026年8月調べ) 出典: 奨学金貸与対象大学(PDF)(2026年8月調べ) 出典: 奨学金貸与対象高等専門学校(PDF)(2026年8月調べ)
調査ノート
調べたこと
- 設立経緯(1981年=昭和56年1月8日に文部大臣許可。故・関湊前理事長の夫人、関よつ氏の発意により夫妻の私財で設立。事務局は東京都渋谷区元代々木町)
- 制度の種別(無利息の貸与型。「卒業後必ず返還」と公式に明記)と返還金が後輩の奨学金原資になる循環型の設計
- 貸与月額(大学3万円・高専2万円)と振込日(毎月10日・休業日は前営業日)
- 出願資格の学年(大学2〜6年・高専2〜5年。1年生は対象外)
- 対象校一覧(大学はのべ299校=基本97+2021年度追加の国立59・公立85・私立58。高専58校=国公立54・私立4。公式PDFで全校名公表)
- 出願書類(願書・推薦調書・成績証明書・在学証明書・作文800字「将来の夢」)
- 成績・家計基準(いずれも数値基準なし。FAQに「基準は設けておりません」「世帯収入の基準、上限は設けておりません」と明記。収入証明書の提出も不要)
- 併給可否(修学支援新制度・JASSO・その他奨学金と併給可能。選考委員会で審議)
- 有利子奨学金からの借り換え応募が公式に可能であること(FAQ「可能です。ぜひご応募ください。」)
- 返還条件(卒業後約1年据置→20年以内の等額割賦・ゆうちょ自動払込・院進学時の猶予・死亡/障害時の免除規定・連帯保証人制)
- 国籍要件(日本在住の日本国籍のみ。返還義務があるため)
調べてみて気づいたこと
- FAQに「有利子貸与の負担を軽減するために、貴会の奨学金に借り換えたい」という応募理由を認める設問があり、回答は「可能です。ぜひご応募ください。」でした。奨学金の借り換えを公式に歓迎する制度は、当サイトで調べた中でこれが初めてです。すでに有利子で借りている人にも意味のある、他にない選択肢だと感じました
- 「この返還金はただちにその年の奨学金となり後輩に貸与されます」という一文が要項にあります。返還が単なる義務ではなく後輩の原資になるという循環の設計で、設立目的の「社会人になって返還するということを通し……人を思いやるという善意の育成」と一貫していました。財団の思想が制度設計にそのまま表れている例です
- 名前の知られていない財団ですが、対象校リストを開くと大学約300校・高専58校とほぼ全国区で、2021年度には200校超をまとめて追加した拡大の跡もありました。「聞いたことがない=小規模」ではないことを、リストの実物を数えて実感しました
- 成績も世帯収入も数値基準を設けず、収入証明書の提出すらない一方で、選考は「選考委員会で審議」に委ねられています。数字の足切りがない分、作文(「将来の夢」800字)と推薦調書の比重が大きい選考なのだろうと推測できる構成でした
調べられなかったこと
- 採用人数・応募者数(公表されていない)
- 年間の募集スケジュール(何月に学校へ案内が届くか。学校経由のため外部から確認できず)
- 貸与規定PDFの詳細(返還の細目規定)
- 事業報告書ベースの貸与実績の推移
更新履歴
- 2026年8月9日: 公式サイト全ページ(制度・財団について・FAQ・対象校PDF2種)を逐語確認して大幅増補。設立経緯(1981年・関湊夫妻の私財)、学年要件(1年生対象外)、対象校数(大学のべ299校・高専58校)、作文課題「将来の夢」、返還条件の詳細(約1年据置・20年以内・ゆうちょ自動払込・院進学猶予・死亡障害免除)、振込日(毎月10日)を追加。FAQの逐語確認により、併給可(canCombine を true に変更)・世帯収入の基準/上限なし・GPA基準なし・有利子からの借り換え応募可・国籍要件(日本国籍のみ)を追記。対象に高専を含むため targetLevel を all に修正
- 2026年7月: 全面改訂。初版の「給付型(返済不要)・月額3万円」のうち種別が誤りで、正しくは「無利息の貸与型」(月額は大学3万円で一致、高専2万円を追記)。公式サイトURLも「seki-ikuei.or.jp」(存在しないドメイン)から「seki-ikueikai.or.jp」に修正。給付型として扱っていた比較表・集計記事からも除外した