制度概要
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 提供元 | 中村積善会 |
| 種別 | 給付型(返済不要) |
| 対象 | 大学学部生・大学院生(博士・修士・専門職。募集指定大学の学校推薦制) |
| 金額 | 月額50,000円 |
| 返済要否 | 不要 |
※ 掲載金額は調査時点のものです。年度により変更される場合があります。
中村積善会は1947年(昭和22年)7月に(旧)文部省の認可を受けて設立された財団法人で(2013年4月に公益財団法人へ認定)、設立から約80年の歴史を持つ最古参クラスの奨学財団です。名称は易経の「積善の家に余慶有り」(積善余慶)に由来します。学業優秀で経済的理由により修学が困難な学生に、返済不要の給費奨学金を支給しており、支給人数は年間約700名(法人概要の公表値。沿革には「2025年4月 給費奨学金(709名)」と記載)と、当サイトで調べた民間財団の中でも最大級の規模です。日本人学生だけでなく、在留資格「留学」を持つ私費留学生も対象に含まれます。
2026年8月更新: 当ページは以前「1943年に設立された、80年以上の歴史」と記載していましたが、公式サイトの法人概要・沿革には「1947年7月 (旧)文部省認可」「財団法人設立・(旧)文部省認可、奨学事業開始」と明記されており、正しくは1947年設立でした。お詫びして訂正します。
創設者と沿革 — 貸費から給費へ
公式サイトのご挨拶・創設者紹介によれば、創設者の中村静尾氏は明治28年(1895年)福岡県生まれ。幼くして母子家庭となり女学校を中退、18歳で産婆試験に合格して家計を支え、大正13年に上京後は飲食店・映画館・劇場・貿易・デパート業と事業を成功させた人物です。「少女時代の経済的事情から勉学の道を閉ざされたことの悔しさ」から昭和10年頃に私費での学費援助を始め、1947年に財団を設立。以降は「全ての事業の全利益を奨学金に投じ」、82歳で銀座に商業ビルを建設して賃貸収入を奨学金の原資とし、92歳で亡くなるまで奨学事業に人生を捧げたと紹介されています。
沿革で特徴的なのは、もともと貸費(貸与型)の財団だったことです。
| 年 | 出来事(公式沿革より) |
|---|---|
| 1947年7月 | 財団法人設立・(旧)文部省認可、奨学事業開始 |
| 1977年11月 | 銀座5丁目中村積善会ビル新築。貸費奨学生350名規模 |
| 1988年4月 | 給費奨学金制度開始(大学院のみ) |
| 1994年11月 | 貸費奨学生500名規模に拡大 |
| 2010年4月 | 給費奨学金を全課程に拡大 |
| 2013年4月 | 公益財団法人認定 |
| 2014年4月 | 給費併用型貸費奨学金開始(76名)→2016年に248名、2021年に320名へ拡大 |
| 2020年12月 | 銀座5丁目ビルの建物を売却し、貸地業に変更 |
| 2025年4月 | 給費奨学金(709名) |
支給額・支給期間
- 金額: 月額5万円(50,000円)、年額60万円。学部生・大学院生とも同額
- 期間: 在籍する大学の最短修業年限の終期まで
- 大学院進学時の継続: 期間を開けずに上級学校(大学院)へ進学する場合、「上級学校進学継続願」を提出し審査のうえ継続受給が可能です(公式注記:「但し、人数に制限がありますので、応じられないこともあります」)
※ 掲載金額は調査時点のものです。年度により変更される場合があります。
支給規模
法人概要に支給人数「年間 約 700名」と明記され、沿革にも「2025年4月 給費奨学金(709名)」とあります。これは新規採用数ではなく給費を受けている奨学生の規模ですが、月額5万円×約700名は年間約4億円規模の給付にあたり、当サイトで調べた民間財団では最大級です。年間の新規採用数・応募者数は公表されていません。
応募資格・条件
公式募集要項の応募資格は次のとおりです。
- 日本国内の大学(学部)・大学院(博士・修士・専門職)に在学(当法人の奨学金募集大学)する日本人学生および海外からの留学生(在留資格が「留学」の者)
- 優秀な学生で経済的理由によって修学の困難な者
- 留学生は私費留学生である者
- 学長等の推薦を受けた者
- 次の者は資格がない: ①出願時年度末(翌年3月31日)の年齢が40才以上の者 ②勤務先から派遣されて在学する者 ③学業に支障のあるような定職又はアルバイトに従事している者 ④秋入学者で最終学年の者 ⑤休学中の者
「※学部・研究科の指定、学年制限は特にありません。」と明記されており、分野・学年の縛りはありません。
成績要件
「優秀な学生」が要件です。学内選考を経る推薦制のため、各大学の推薦基準を満たす必要があります(財団共通の数値基準は公表されていません)。
所得制限
収入基準が示されています。「※当法人は日本学生支援機構の第一種の収入基準に準じており、家族構成により異なりますので、不明な点は大学にお問い合わせください。」(募集要項の逐語)— JASSO第一種奨学金の家計基準に準拠する方式です。
申請方法・スケジュール
- 在籍大学の学生課・奨学金担当窓口で募集情報(推薦枠の有無)を確認
- 学内選考を経て大学(学長等)の推薦を受ける
- 大学を通じて中村積善会へ応募書類を提出(「学内選考に必要な『提出書類・提出期限』は、大学の指示に従って下さい」とされ、財団共通の締切は公表されていません)
- 選考・採用決定後、給費開始
推薦人数は「当法人指定の人数」とされており、大学ごとに枠が決められています。大学関係者向けページには推薦書・願書・奨学金案内の様式が掲載されています。
採用後の義務
- 新年度報告書(4月20日期限。4/1以降の在学証明書・成績証明書を添付)
- 生活・学業状況報告書(9月30日期限)
- 期間終了報告(3月31日期限。上級学校進学継続願を出す場合は3月1日)
- 報告書・届出は奨学金オンライン申請システムから提出
- 奨学生懇談会への参加案内あり(関東地区=東京会場で年3回予定、関西地区=大阪会場で年2回予定)
- 給費奨学生は保証人、給費併用型貸費奨学生は連帯保証人を立てる方式です(変更届の書式区分から確認)
給費併用型貸費奨学金について
給費(給付)に貸費(貸与)を組み合わせた「給費併用型貸費奨学金」という制度が2014年に始まり(76名)、2016年に248名、2021年に320名へ拡大した経緯が沿革に記載されています。ただし現在の募集ページに掲載されているのは給費奨学金のみで、給費併用型貸費は卒業生向けの返還手続き案内(連帯保証人変更届・返還計画書等)にのみ登場します。新規募集が続いているのかは公開情報からは確認できませんでした。
他制度との併用可否
併用に制限はありません。募集要項に「※他の奨学金との併用に制限はありません。」と明記されています。
注意点
- 学校推薦制のため、個人での直接応募はできません。募集時期・学内締切も大学ごとに異なります
- 大学ごとの推薦枠は財団指定の人数に限られます
- 40歳以上(出願時年度末)・休学中・定職就労中などは応募資格がありません
- 毎年度の報告書提出(4月・9月・期間終了時)が義務付けられています
出典・公式サイトリンク
出典: 公益財団法人中村積善会 奨学金(2026年8月調べ) 出典: 公益財団法人中村積善会 法人概要(2026年8月調べ) 出典: 公益財団法人中村積善会 ご挨拶・創設者・沿革(2026年8月調べ)
調査ノート
調べたこと
- 設立年の正確な確認(1947年7月に(旧)文部省認可。2013年4月に公益財団法人認定。当ページ旧記載の「1943年」は誤り)
- 創設者・中村静尾氏の経歴(明治28年福岡生まれ・母子家庭で女学校中退・18歳で産婆試験合格・上京後に飲食店/映画館/劇場/貿易/デパート業で成功・昭和10年頃から私費で学費援助・82歳で銀座にビル建設・92歳没)
- 名称の由来(易経「積善の家に余慶有り」→積善余慶)
- 支給規模(法人概要「年間 約700名」・沿革「2025年4月 給費奨学金(709名)」)
- 沿革(貸費350名規模〔1977〕→給費開始は1988年に大学院のみ→2010年全課程拡大→給費併用型貸費2014〜。銀座のビル賃貸収入を原資とし、2020年に建物売却・貸地業へ変更)
- 給費月額(学部・院とも50,000円)と期間(最短修業年限の終期まで)
- 応募資格の除外規定(40才以上・勤務先派遣・定職/アルバイト従事・秋入学の最終学年・休学中)と「学部・研究科の指定、学年制限は特にありません」の明記
- 収入基準(JASSO第一種の収入基準に準拠と募集要項に明記)
- 併用可否(「他の奨学金との併用に制限はありません」と明記)
- 大学院進学時の継続制度(上級学校進学継続願・人数制限あり)
- 採用後の義務(新年度報告書4/20・生活学業状況報告書9/30・期間終了報告3/31・オンライン申請システム・懇談会=関東3回/関西2回)
- 保証人の区分(給費=保証人、給費併用型貸費=連帯保証人)
調べてみて気づいたこと
- 当ページは設立年を「1943年」と誤記していました。公式の法人概要と沿革の両方に1947年と明記されており、初回調査で何を根拠に1943年としたのか遡れませんでした。それでも1947年設立は当サイトで調べた民間財団の中で最古参で、電通育英会(1963年)や川村育英会(1953年)より古い財団です
- 「年間約700名」という支給規模は、キーエンス財団(採用1,555名)に次ぐ水準で、日揮・実吉奨学会(395名枠)を上回ります。これほどの規模なのに、財団の情報がネット上でほとんど流通していないことに驚きました。応募が完全に大学経由で、学生から直接見える面が小さいことが理由だと感じます
- 沿革を読むと、この財団は約60年間「貸費(貸与)」の財団で、給付型になったのは意外に新しいことが分かります(給費開始1988年・全課程拡大2010年)。「老舗財団=昔から給付型」という思い込みは成り立ちませんでした
- 奨学金の原資が銀座のビル賃貸収入(現在は貸地業)という不動産収益モデルであることが沿革から読み取れます。株式配当型の財団が多い中、収益構造まで公開されている例は貴重です
- 学部生も大学院生も同額(月5万円)という一律設計は、院生への増額をする財団が多い中では珍しいと感じました
調べられなかったこと
- 年間の新規採用数・応募者数・倍率(支給人数約700名は在籍規模であり新規採用数ではない)
- 募集時期の年間スケジュール(大学ごとの学内締切に委ねられており、財団共通の時期は非公表)
- 給費併用型貸費奨学金の現在の募集有無と貸費部分の金額・返還条件
- 募集指定大学の校数(一覧表は公式サイトに掲載されているが、画像形式のため校数を確定できず)
- 具体的な成績基準の数値
更新履歴
- 2026年8月9日: 公式サイト全ページ(奨学金・法人概要・ご挨拶/創設者/沿革)をブラウザで逐語確認して大幅増補。設立年を1943年→1947年に訂正(お詫びします)。支給規模(年間約700名・2025年4月時点709名)、創設者の経歴、沿革(貸費→給費の変遷・不動産収益モデル)、応募資格の除外5類型、収入基準(JASSO第一種準拠)、併用制限なし(canCombine を true に変更)、大学院進学時の継続願、採用後の義務(報告書・懇談会・オンライン申請システム)を追加。対象に大学院生を含むため targetLevel を all に修正
- 2026年7月31日: 提供元ページを本ページに統合し、財団の位置づけと学部・院同額設計に関する比較観察を調査ノートに追記
- 2026年7月: 金額を修正(「学部3万円/院5万円」→学部・院とも月額5万円)。根拠不明だった採用人数(約60名)の記載を削除。公式サイトURLを「nakamura-sekizen.or.jp」(存在しないドメイン)から「nakamurasekizenkai.org」に修正