この比較表について
このページでは、日本学生支援機構(JASSO)の貸与型奨学金について、第一種(無利子)と第二種(有利子)の違いを一覧で整理しました。どちらも卒業後に返還が必要な奨学金ですが、利子の有無・月額の範囲・採用基準が異なります。
※ 掲載情報は調査時点のものです。年度により変更される場合があります。 ※ 所得制限の金額は予約採用の2026年度目安(4人世帯モデル)です。家族構成により異なります(目安表に自宅・自宅外の区分はありません)。
比較表
| 項目 | 第一種(無利子) | 第二種(有利子) |
|---|---|---|
| 利息 | なし(無利子) | あり(上限年3.0%。貸与利率は上昇傾向で、令和8年度6月貸与終了者は固定2.922%/見直し1.900%) |
| 月額・大学学部 | 20,000〜64,000円(設置区分・通学形態で異なる5区分) | 20,000〜120,000円(1万円単位で選択。私立大医・歯学課程は+4万円、私立薬・獣医学課程は+2万円の増額可) |
| 月額・大学院修士 | 50,000円 / 88,000円 | 50,000〜150,000円(5区分) |
| 月額・大学院博士 | 80,000円 / 122,000円 | 50,000〜150,000円(5区分) |
| 成績基準(予約採用) | 評定平均3.5以上(住民税非課税世帯等は緩和あり) | 平均水準以上・特定分野の優れた資質能力・学修意欲等のいずれか |
| 成績基準(在学採用) | 2017〜2025年度入学者: 上位1/3以内 / 2026年度入学者: 評定平均3.5以上 | 平均水準以上 |
| 所得制限(4人世帯・給与所得の目安) | 約803万円以下 | 約1,250万円以下 |
| 返還方式 | 所得連動返還方式 / 定額返還方式(選択可) | 定額返還方式のみ |
| 最長返還期間 | 定額返還方式で20年(所得連動返還方式は期間が定まらない) | 20年 |
| 返還開始 | 貸与終了の翌月から7か月目 | 貸与終了の翌月から7か月目 |
| 返還免除制度 | 死亡・障害による免除あり。大学院は「特に優れた業績による返還免除」もあり | 死亡・障害による免除あり(業績による免除はなし) |
| 減額返還・返還猶予 | あり(減額は2/3・1/2・1/3・1/4の4択、通算15年上限) | あり(減額は2/3・1/2・1/3・1/4の4択、通算15年上限) |
| 入学時特別増額貸与 | あり(10万〜50万円。有利子・「国の教育ローン」を利用できなかった世帯対象) | あり(10万〜50万円。有利子・「国の教育ローン」を利用できなかった世帯対象) |
| 利率の方式 | — | 利率固定方式 / 利率見直し方式(利率は貸与終了月に決定) |
| 在学中の利子 | — | 無利子(貸与終了後から利率適用) |
| 第一種との併用 | — | 可能 |
| 第二種との併用 | 可能 | — |
| 給付型との併用 | 可能(貸与月額が調整される場合あり) | 可能 |
| 詳細 | 第一種の詳細 | 第二種の詳細 |
比較のポイント
成績基準の違い
第一種は予約採用で「評定平均3.5以上」と比較的厳しい基準です。在学採用は入学年度により基準が異なり、2017〜2025年度入学者は「上位1/3以内」、2026年度入学者は「評定平均3.5以上(専修学校専門課程は3.2以上)」です。また、住民税非課税世帯等には学力基準の緩和があります(予約採用は学修意欲があれば学校推薦で基準を満たす扱い、在学採用は上位1/2または標準単位数+学修計画書)。第二種は「平均水準以上」「特定分野の特に優れた資質能力」「学修意欲・修了見込み」のいずれかで、第一種と比べて間口が広くなっています。
所得制限の幅
予約採用の2026年度目安(4人世帯モデル・給与所得世帯)では、第一種は約803万円以下、第二種は約1,250万円以下と、第二種のほうが大幅に高く設定されています。第一種の基準を超える世帯でも第二種は利用できる場合があります。なお、目安表に自宅・自宅外の区分はなく、実際の判定は生計維持者の「貸与額算定基準額」で行われます。
返還方式の選択肢
第一種には所得連動返還方式があり、卒業後の所得が低い時期は返還額を抑えることができます(最低月額2,000円・機関保証必須・返還期間は定まらない)。第二種は定額返還方式のみです。
利子の実態
第二種の利率上限は年3.0%で、在学中は無利子です。ただし近年の貸与利率は上昇傾向にあり、令和7年4月貸与終了者の固定1.612%/見直し0.900%から、令和8年度6月貸与終了者は固定2.922%/見直し1.900%まで上がっています(固定方式は上限3%に迫る水準)。利率は貸与終了月に決定するため、貸与開始時点では確定しません。増額部分の利率は基本月額より約0.2%高く設定されています。
返還免除制度
死亡または精神・身体の障害により返還できなくなった場合の返還免除は、第一種・第二種の両方に適用されます。「特に優れた業績による返還免除」は大学院の第一種のみにあり、学部の第一種および第二種にはありません。
併用について
第一種と第二種は同時に利用(併用)できます。また、どちらもJASSO給付型奨学金との併用が可能です。ただし給付型と第一種を併用する場合、給付型の支給区分に応じて第一種の貸与月額が調整(減額)されることがあります。
比べて見えたこと
表にして最初に気づいたのは、第一種と第二種が「同じ貸与型の上位・下位」ではなく、別の性格を持つ制度だということです。第一種は成績・所得の基準が厳しい代わりに、無利子に加えて所得連動返還方式まで選べる「返す側の保険が厚い」設計。第二種は間口が広い代わりに、利率が貸与終了月まで確定しないという不確実性を借り手が引き受ける設計です。とくに返還方式の非対称(所得連動を選べるのは第一種のみ)は、両方を併用で借りる場合に見落としやすい差でした。
もう一つは利率の動きです。「第二種は実質ほぼ無利子」と言えた時期の解説がネット上にはまだ多く残っていますが、固定方式の利率は上限3%に迫る水準まで上がっており、どの時点の記事を読むかで第二種の印象はまるで変わります。当サイト自身も初期の返還シミュレーションを旧利率で書いて計算し直した経緯があり、この表も年度ごとの更新を前提にしています。
注意事項
- 貸与型奨学金は卒業後に返還が必要です。返還総額を把握した上で利用を検討してください
- 所得制限の金額は予約採用の2026年度目安です。実際の基準は家族構成により異なり、生計維持者の「貸与額算定基準額」で判定されます
- 返還を延滞した場合、個人信用情報機関に登録される場合があります
- 月額の変更は年度単位で申請可能です
※ このサイトは個人が運営する調査ノートです。特定の制度を推奨するものではありません。 ※ 最新の募集要項は必ず各制度の公式ページでご確認ください。
出典
各制度の出典は個別ページに記載しています。
調査ノート
調べたこと
- 第一種と第二種の貸与月額の選択肢(大学学部・大学院それぞれ。第二種の私立医歯薬獣医の増額を含む)
- 成績要件の違い(第一種は入学年度別の在学採用基準と非課税世帯等の緩和、第二種は3基準のいずれか)
- 所得制限の2026年度目安(給与所得803万円 vs 1,250万円。4人世帯モデル・自宅/自宅外区分なし)
- 返還方式の違い(所得連動の有無と、所得連動では返還期間が定まらないこと)
- 利率の仕組みと直近の実績(令和8年度6月: 固定2.922%/見直し1.900%。上昇傾向)
- 返還免除制度の対象範囲(死亡・障害免除は両種に適用、業績免除は大学院第一種のみ)
- 減額返還の選択肢(2/3・1/2・1/3・1/4)と通算15年の上限
- 入学時特別増額貸与奨学金の前提条件(有利子・「国の教育ローン」を利用できなかった世帯対象)
調べられなかったこと
- 第一種・第二種それぞれの年間採用者数と採用率
- 所得連動返還方式の具体的な計算式
- 第一種・第二種の併用者の割合
- 返還免除の具体的な採用率(大学院第一種)
更新履歴
- 2026年7月22日: JASSO公式サイトの現行ページに基づき訂正。利率実績(旧「0.5〜1.0%程度で推移」→ 上昇傾向・令和8年度6月固定2.922%/見直し1.900%)、家計基準(旧747万/1,100万円 → 803万/1,250万円)、第一種在学採用の学力基準(入学年度別)、減額返還(4択・通算15年上限)、返還免除(死亡・障害免除は第二種にも適用)、第二種の私立医歯薬獣医の増額、入学時特別増額の前提条件(有利子・国の教育ローン)を修正