制度概要
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 提供元 | 日本学生支援機構(JASSO) |
| 種別 | 給付型(返済不要) |
| 対象 | 大学・短大・高等専門学校(4-5年)・専門学校の学生 |
| 金額 | 月額約12,800円〜75,800円(世帯収入・通学形態により異なる) |
| 返済要否 | 不要 |
※ 掲載金額は調査時点のものです。年度により変更される場合があります。
この制度は「高等教育の修学支援新制度」の一部で、給付型奨学金と授業料等減免の2つがセットになっています。JASSOが給付型奨学金を、各大学等が授業料減免を担当する仕組みです。
支給額・支給期間
給付型奨学金の月額(2024年度〜)
世帯の収入に応じて第I区分〜第IV区分に分かれます。区分ごとの月額は以下の通りです。
大学・短大・専門学校の場合:
| 区分 | 国公立・自宅 | 国公立・自宅外 | 私立・自宅 | 私立・自宅外 |
|---|---|---|---|---|
| 第I区分 | 29,200円 | 66,700円 | 38,300円 | 75,800円 |
| 第II区分 | 19,500円 | 44,500円 | 25,600円 | 50,600円 |
| 第III区分 | 9,800円 | 22,300円 | 12,800円 | 25,300円 |
| 第IV区分(多子世帯) | 7,300円 | 16,700円 | 9,600円 | 19,000円 |
※ 第IV区分は2024年度から新設された中間層向けの枠ですが、給付型奨学金の月額が支給されるのは多子世帯(扶養する子ども3人以上)のみです。多子世帯でない私立理工農系の学生は、第IV区分に該当しても給付額は0円(授業料等減免のみ)です。区分の判定の仕組みと年収目安は別記事にまとめました。
高等専門学校(4・5年生)の場合:
| 区分 | 国公立・自宅 | 国公立・自宅外 | 私立・自宅 | 私立・自宅外 |
|---|---|---|---|---|
| 第I区分 | 17,500円 | 34,200円 | 26,700円 | 43,300円 |
| 第II区分 | 11,700円 | 22,800円 | 17,800円 | 28,900円 |
| 第III区分 | 5,900円 | 11,400円 | 8,900円 | 14,500円 |
| 第IV区分(多子世帯) | 4,400円 | 8,600円 | 6,700円 | 10,900円 |
年額に換算すると、最も高い私立・自宅外の第I区分で 75,800円×12か月=約91万円、最も低い国公立・自宅の第IV区分で 7,300円×12か月=約8.8万円です。
※ 掲載金額は調査時点のものです。年度により変更される場合があります。
授業料等減免の上限額(参考)
給付型奨学金とセットで、以下の授業料等減免が受けられます。
| 区分 | 国公立大学・入学金 | 国公立大学・授業料(年額) | 私立大学・入学金 | 私立大学・授業料(年額) |
|---|---|---|---|---|
| 第I区分 | 約28万円 | 約54万円 | 約26万円 | 約70万円 |
| 第II区分 | 第I区分の2/3 | 第I区分の2/3 | 第I区分の2/3 | 第I区分の2/3 |
| 第III区分 | 第I区分の1/3 | 第I区分の1/3 | 第I区分の1/3 | 第I区分の1/3 |
| 第IV区分 | 第I区分の1/4 | 第I区分の1/4 | 第I区分の1/4 | 第I区分の1/4 |
支給期間
原則として、正規の修業年限(大学4年間、短大2年間など)まで支給されます。ただし、学業成績の基準を満たさない場合は途中で停止・廃止となる場合があります。
応募資格・条件
所得制限
世帯の所得に応じて支援区分が決まります。判定は年収そのものではなく、住民税の課税標準額から計算される「支給額算定基準額」(課税標準額×6%−調整控除額等)に基づきます。
- 第I区分: 住民税非課税世帯
- 第II区分: 住民税非課税世帯に準ずる世帯
- 第III区分: 上記に準ずる世帯
- 第IV区分: 多子世帯(扶養する子ども3人以上)等で、上記より広い所得範囲
具体的な所得基準は家族構成によって異なるため、JASSOの「進学資金シミュレーター」で確認できます。判定式(課税標準額×6%−調整控除額等)と家族構成別の年収目安は区分と年収目安の記事に、シミュレーターの入力方法と結果の読み方はシミュレーターの記事に、それぞれ調査結果をまとめています。
成績要件
予約採用(高校在学中に申請する場合):
- 高校の全履修科目の評定平均値が3.5以上、または学修計画書の提出により学修意欲が認められること
在学採用(大学入学後に申請する場合):
- GPA等が上位1/2以上、または学修計画書の提出により学修意欲が認められること
国籍要件
日本国籍を有する者、または在留資格が「永住者」「定住者」「日本人の配偶者等」等である者。
対象校
文部科学省が「確認大学等」として認定した学校のみ。ほとんどの大学・短大・専門学校が対象ですが、一部対象外の学校もあります。対象校はJASSO公式サイトで確認できます。
申請方法・スケジュール
予約採用(高校在学中の申請)
- 高校3年の春頃(4〜5月頃)に在学する高校を通じて申し込み
- JASSOのスカラネットでインターネット申請
- マイナンバーの提出(所得確認のため)
- 秋頃に採用候補者として決定通知
- 進学後、進学届を提出して正式に支給開始
在学採用(大学入学後の申請)
- 大学の学生支援窓口で申請書類を入手
- スカラネットでインターネット申請
- マイナンバーの提出
- 春採用(4月頃申請)と秋採用(9〜10月頃申請)の年2回
家計急変採用
予期できない事由(生計維持者の死亡、失職、災害等)により家計が急変した場合、随時申請が可能です。
なお、採用後の振込日(原則毎月11日)、初回振込の時期(予約採用は進学届提出から1〜2か月後、在学採用の春申込は6月または7月)、採用通知の届き方は振込日と採用通知の記事にまとめました。
他制度との併用可否
- 授業料等減免: セットの制度のため自動的に併用(給付型奨学金の採用が授業料減免の要件)
- JASSO貸与型奨学金(第一種・第二種): 併用可能。ただし第一種は給付型奨学金の支給区分に応じて貸与月額が調整(減額)される場合あり
- 大学独自の奨学金: 各大学の規定による。多くの大学で併用可能
- 民間財団の奨学金: 各財団の規定による
注意点
学業成績による継続判定
毎年度、学業成績の確認が行われます。以下の場合、支給が停止・廃止されます。
- 廃止(打ち切り): 退学・停学処分、修業年限で卒業できないことが確定、修得単位数が標準の5割以下
- 停止: 修得単位数が標準の6割以下、GPA等が下位1/4、出席率8割以下(災害等の場合を除く)
- 警告: 修得単位数が標準の7割以下、GPA等が下位1/3
警告が連続した場合は停止となります。
支給額の見直し
毎年10月に所得状況が再確認され、支援区分が変更になる場合があります。区分が上がる(支給額が増える)こともあれば、下がる(減る)こともあります。
返還が求められる場合
原則として返済不要ですが、以下の場合は返還を求められます。
- 学業成績不振により支給が廃止された場合
- 虚偽の申請が発覚した場合
- 退学した場合(在学中に受給した分の返還が求められる場合あり)
出典・公式サイトリンク
出典: 日本学生支援機構(JASSO)給付奨学金公式ページ(2026年7月調べ)
出典: 文部科学省 高等教育の修学支援新制度(2026年3月調べ)
調査ノート
調べたこと
- 給付型奨学金の支給月額(第I〜第IV区分 × 国公立・私立 × 自宅・自宅外)
- 高等専門学校(4・5年生)の支給月額(2026年7月追記。公式ページで確認)
- 授業料等減免の上限額(給付型とセットの制度)
- 所得制限の仕組み(支給額算定基準額=課税標準額×6%−調整控除額等。区分境界は100円/25,600円/51,300円/154,500円)
- 第IV区分の正確な対象(多子世帯=給付あり、多子でない私立理工農系=給付0円・減免のみ。2026年7月に記述を正確化)
- 予約採用・在学採用・家計急変採用の3つの申請ルート
- 学業成績による継続判定の基準(廃止・停止・警告)
- 他の奨学金制度との併用可否
調べてみて気づいたこと
- 月額の表だけを民間財団と並べると、この制度の実像を見誤ります。給付型奨学金(最大で年約91万円)に授業料等減免(私立で年最大約70万円)がセットで付く二階建てで、合計の支援額では民間の高額帯に匹敵します。金額比較の物差しに月額を使うと片方の階が消えてしまうのが、整理していて悩んだ点でした
- 第IV区分は「中間層向けに新設された枠」と紹介されがちですが、給付型の月額が出るのは多子世帯だけで、多子世帯でない私立理工農系は該当しても給付0円(授業料等減免のみ)です。この条件分岐は誤解されやすく、当サイトでは別記事に切り出すほど説明に手間の掛かる部分でした
- 「返済不要」でも、もらって終わりではありません。成績基準を割ると警告→停止→廃止と進み、学業成績不振による廃止などでは受給分の返還を求められる場合があります。毎年10月には所得の再判定もあり、在学中ずっと継続条件と付き合う制度です
調べられなかったこと
- 家計急変採用の具体的な審査期間
- 採用率・倍率(JASSOは非公表)
更新履歴
- 2026年7月: 支給月額を公式ページで再確認。高専の金額表を追加し、第IV区分の説明を正確化(理工農系枠は給付0円である点を明記)。判定の仕組み・シミュレーターの使い方・振込日は、それぞれ区分と年収目安・シミュレーターの読み方・振込日と採用通知の各記事に調査結果を分けてまとめた